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2003.12.15

「耽美なわしら」I (1995)と「マリア様がみてる」の発表前夜

12/6に書いたことだけど、この作品を「百合」というには
ちょっと抵抗があります、確かに「百合」要素はあるのだけど、
作品のメイン(主人公)がゲイだから、おすすめしにくい、というのが理由なのです。
しかし、この作品はなかなか、「百合」やら「BL」やら「耽美」やらそういう
セクシャルな文化を実にうまくとらえていると思います。
ギャグは個人的にはかなり笑えるし、実は好きな作品なのです。

この作品は男女5人がメインの話なのだけど、この5人のセクシャリティが
面白い。田中彩子(真性レズビアン)、矢野俊彦(真性ゲイ)、
美穂(女のバイセクシャル)、志木昴(男のバイセクシャル)、
相原千里(男のAセクシャル)なのです。
ちなみに、主人公は耽美に憧れる優しきゲイ兄貴、矢野俊彦。
※Aセクシャルとは、男女どちらにも恋愛感情を抱かないタイプの人

説明するのは難しいですが、この5人はシンメトリーというか
機能的にかみ合っている関係になっています。
「百合」的には彩子と美穂の関係が見所なのだけど、この2人はたまにしか
相思相愛にならないという、「百合」的にはちょっと厳しい関係。
しかし、この作品を読んでいくうち、不思議なことに気づきます。
女同士の関係と、男同士の関係は実は、親和性があるのではないか?
ということです。

オタク系から「百合」に入ってきた人間(私もそうだけど)は「BL」系を
忌み嫌っている気がします。
でも「BL」は「百合」の親戚筋に当たるジャンルだと感じます。
「BL」を好きになる必要はないけど、ちょっと広い視野を持つのには
この作品はとても良いと思います。

ちなみに、森奈津子氏はこの作品を年少向けにしたような
「あぶない学園」シリーズ全4巻(1993-1995)(学研レモン文庫)を
出しています。この作品も表面的には、「BL」だけど
実はとても深い「百合」を表現していると思います。

この分野の視野を広げたい人は、お試しを。
ただし、「あぶない学園」シリーズ全4巻の入手はかなり困難です。

そうそう、「耽美なわしら」に登場する相原千里(男)は、売れない少女向け
エス小説を書き続ける、孤高の作家なのです。
しかし、性格はどうしょうもないお子様・・・。

「マリア様がみてる」(1997-)が登場したとき、私は実は
相原千里を思い出してしまいました(笑)そして、相原千里と
同じように、売れないんだろうなと思っていました・・・が、結果はごらんの通り。
しかし、インターネットがなかったら、やっぱり売れなかったのだろうな・・・

あと、この作品のあとがきに興味深い事が書かれています。
同じ、年少向けの作家、高瀬美恵氏と「95年は『お姉様物』を流行らせよう!」
語り合ったというのです。

実際、高瀬美恵氏は「禍つ姫の系譜」シリーズ全5巻(1996-1997)(講談社X文庫)
という「百合」要素有りの作品を書いています。
そして、記憶力のいい人はわかったかもしれませんが、
「マリア様がみてる」1巻(1998)の後書きに、「T瀬センセ」とあります・・・。
そう、森奈津子-高瀬美恵-今野緒雪というつながりがあるわけです。

ちなみに「S島センセ」霧島ケイ氏だと思います「聖ベリアーズ騎士団!」(1996)
(集英社スーパーファンタジー文庫)というなかなかの百合物件を出しています。
(これは、私もかなり好きな作品です)
また、この作品の後書きにも、「一部の友人作家たちの間で、・・・(略)
男同士の愛がちまたに氾濫しているんだから、次はいよいよ少女たちの
愛の世界が主流になるのよ」
と書いています。
で、実際に大ヒットしたのは今野緒雪氏だったということですね。
# 「K川センセ」「楽園の魔女たち」樹川さとみ氏かな?
# 実は「楽園の魔女たち」は未読なのです。冊数が多いので、ためらっています。

私としては森奈津子氏に「百合」ブームを作り出して欲しかった
のですが、歴史とはうまいこと行かない物です。しかし、
「マリア様がみてる」は今野緒雪氏にしか書けなかったというのも事実だと思います。

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