「変容風の吹くとき」(1987)
ジャック・L・チョーカー・作、野口幸夫・訳、角川文庫・刊
原作は1987年、翻訳版は1990年の作品です。
第一印象を言やぁ、こんこんちき惜しいという感じです。
ついぞ、こんなヘボ超訳は読んだことありゃしなかったです。
でも、一発屋でもないようです。野口幸夫という人は。
発表した作品は50作以上あるらしいのですが、この超訳
なわけです。この作品に限って。
# 疲れるので、ここからは普通文体でお送りします(笑)
話は・・・
サムとチャーリー(どちらも女性)は親友同士。
ある日、チャーリーはサムが家出したと聞かされる。
心配するチャーリーだが、サムは自ら連絡してくる。
そして、何者かに追われていると告白する。
彼女の身に何が起こっているのか。そして・・・
話は異世界ファンタジーものになっていく。
二人の運命やいかに!
というような内容です。
少しバタくさいところもありますが、アニメやRPGゲームに
通じるところも多いし、なじみやすい内容だと思います。
(超訳以外は)
異世界ものとしてはよくできていると思います。
<変容風>という設定もなかなか面白くて、先を期待させる
展開です。しかし、いかんせん、あの超訳が全てを
台なしにしています。私も何度読み進むのを断念
しかけたことか。
あとがきを読むと、原作は7巻まであったようですが、
1巻がこんな出来なので続巻することは、ないでしょう。
百合的には、サムのチャーリーがとても固い絆で結び
ついた親友という感じで、とても良いです。
いや、文章がアレなので明確ではなかったのですが、
ひょっとして本当にデキている?と思わせるシーンさえ
あります。
二人の仲の良さを、この擬懐古趣味直訳迷路文体から
感じることができるなら、ちょっと得した気分になると
思います。
返す返すもこの翻訳は残念です。しかし、この翻訳が
なければ、この作品を知ることもなかっただろうし・・・
出会いとは難しいものです。
おすすめ度は
■■■■■■■□□□
と算じきました。確実なること地獄のごとし。
追伸
野口幸夫氏は昨年お亡くなりになったそうです。
ご冥福をお祈り致します。
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