「girl's anthology gxg」2005 summer
晴天飛行。というサークルの同人誌です。
今年の夏コミで刊行された本です。
いままで細々と「百合」作品を発表していたサークルは
いくつかあったのですが、30人近い参加者で、200ページ
という大ボリュームで同人誌を創った例は過去に一度も
なかったのではないでしょうか。
(100人以上の参加者で400ページ以上のファンジンという
のはありましたが)
そういう点で、非常に大きな仕事だと思います。
うまくいけばエポックメーカーになるかもしれませんし。
さて、肝心な内容の感想なのですが・・・
良くも悪くも、「百合」アンソロジーに類似していますね。
「百合」アンソロジーは、ある意味「百合」作品として
完成された形態をしているので、個人的には同人誌らしく、
もっと尖った作品を期待したのですが、そういう作品は
少なかったです。
しかし、同人誌らしく、作品毎にフォントが違っていたり
形式のゆらぎがあったりして、そういうのは新鮮でした。
また、「百合」作品を初めて制作したと言う方も多くて、
そういう点で面白いアンソロジーになったと思います。
では・・・個人的に面白かった作品をピックアップします。
●「恋にはならない恋」五月みゆ・作
五月みゆ氏は、「百合」サークルを主催している方
ですね。今回、一番場慣れしている印象がありました。
「百合」としても一番正統に完成度が高かったと思います。
●「Spring Ephemeral」小鳥遊夏月・作
今回、似たような作品が多かったので、こういうバッド
エンドものは新鮮でした。題材がビアンものっぽい
のも良いと思います。
●「ソシラソ」ユルギハルコ・作
今回、学園ものが多かったのですが、この作品も
そうです。ただ、一見かわいい絵柄で、「呪い」という
ワンポイントが効いていると思います。
●「risolute」七重紅海・作、子忍みるく・挿絵
「形式」が面白い作品です。
オチは正直言って、煮詰め不足かなと思いますが、
女子高生と家庭教師のカップリングが新鮮でした。
●「君という花」麻花・作
これも形式が面白い作品です。
このアンソロジーの中では唯一、セクシャルな印象が
強い作品です。ただ、こういうダラダラした感じの
エロスは個人的は好きです(汗)
●「GROWIN'UP SWEET 18」西山香葉子・作
非常に、幼い印象の作品です。「百合」としても
今回のアンソロジーの中では低い方だと思います。
どこかの国の王女と、美容師の女の子の出会い
を描いているのですが、このカップリングは新鮮です。
確かに、幼いですが、こういう作品こそ期待したいです。
●「鱗の家」果竜・作
「百合」アンソロでもたびたび名前を見かける作家
ですね。さすがに、慣れている印象です。
学生ものと思いきや、ファンタジーという意外性が
よいですね。
まあ、同人誌らしく1作毎に短くて、文章も絵も拙い
作品が多いですが、個人的には思った以上に楽しめ
ました。
この勢いで続いてくれたら、言うことはないですね。
続けば、きっと作品の質も向上すると思いますし。
でも個人的には質の向上より、同人誌でしかできない、
思いっきりの良い作品が読みたいと思います。
エロではなく、ある種のトリップ感を伴った作品とか
読んでみたいですね。
おすすめ度は、個人的には・・・
■■■■■■■■■■
とします。
でも、同人誌というものに慣れていない方には、
■■■■■■■■■□
が妥当かな、とも思います。
そうそう、このアンソロジーに参加している方々の
フリートーク欄を読むと、「マリア様がみてる」の
サークルに参加している方が多いように思います。
そういう方がもっと「百合」へ、という動きが出てくると
嬉しいですね。
「マリア様がみてる」って本当に偉大な作品です。
次の刊行に大期待しています!
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