「歌姫-ロジエル- 虹色の楽譜」
桃井あん・作、集英社コバルト文庫・刊
「歌姫-ロジエル-」シリーズ3作目です。
昨年は「百合」少女小説期待の星だったのですが、
「百合」作品の豊作が予想される今年にあっても、
期待を保てるかどうか、注目です。
読後の第一印象は・・・ううむ。話の完成度は全作より
向上している印象ですが、「百合」度は明らかに下降
しています。有力な男性キャラが出て来るわけでもない
ので、まだまだ有望だと思いますが。
さて、今回は盗まれた楽譜を求めて、ユリアとスイは
男装して農場に忍び込みます。そして、二人を追うように
現れるリアン(♀)とフェディ(♂)。彼らの正体とは・・・。
という話です。
スイが男装して格好いいのは良いとしてユリアまで少年
っぽいとは、歌姫(この世界で女性の花形職業)として
どうよ、という感じはしますね(汗)
それがなんだかお似合いな雰囲気を醸し出していて、
ヅカ的な「百合」と思えないこともないのですが、それは
有効な「百合」エピソードがあればこそ、ですよね。
・・・実のところそこがないのです。
今回は初めて、歌姫同士の戦いの描写があり、それが
この作品に良いメリハリを与えていたと思います。
そういう点でライトノベルとしての読み応えはあったと
思うのですが、肝心なユリアとスイの内面描写は実に
薄かったです。
それでも「ダーティーペア」みたいな古典的
バディものと比べたら、まだまだ「百合」の雰囲気を
出していると思うのですが、1,2巻と比べたら落胆して
しまいます。
しかし、それでも、光明があるとすれば、今回は敢えて
抑えた、と考えることもできるという点でしょうか。
まあ、こういうこともあるさ、ということで、前向きに
第4巻に期待したいです。
おすすめ度は、涙を飲んで
■■■■□□□□□□
とします。
そうそう、「百合」キャラではないですが、リアンは敵ながら
不思議な魅力があるキャラで、ちょっと惹かれました。
これでフェディが女性だったら嬉しかったのですが。
過去の感想はこちら。
●「歌姫-ロジエル- 禁じられた歌」
●「歌姫-ロジエル- 白い花 黒い花」
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