「メランコリック実験」
「逆ギレ刑事」というサークルの同人誌です。
メインライターは袴田めら氏。
この同人誌は、再録作品4編。書き下ろし1編という
構成の短編漫画集です。
「百合」作品は再録の中に1編。書き下ろし作品も
「百合」ですね。
読後の第一印象は・・・レビューでは何度か書いて
いますが、やはり袴田めら氏は漫画が上手い。
「百合」好きではありますが、この作品に掲載され
ているヘテロな作品もすんなり読めました。
もちろん「百合」作品も良作です。
では「百合」作品を中心にレビューさせていただき
ます。
●「いーたん」
いーたんは佳也乃のぬいぐるみ。佳也乃は野球部の
エースに憧れている少女。そんな佳也乃を見つめる
のは少女・サロメ。
いーたん視点で二人の関係を描いている作品です。
う~ん。切ないけれど優しいお話です。
「百合」ものとしてはオーソドックスな三角関係
ものですが、サロメの心中を察すると、切なくも
狂おしくも、幸せな気分にさせられます。
そんな心中を知る良しもないいーたんのモノローグ
が巧い具合に作用しているのも良いですね。
あと、サロメという名前が巧いです。舞台はどう
考えても日本だし、見た目も日本人っぽいのに、
この名前。というポイントのつけ方が非常に巧いと
思いました。
●「あなたを虜に」
"村田さん"は大食い少女。同じクラスの"斉藤"(♀)
は"村田さん"のために大量のお弁当を作るのだった。
・・・というお話(汗)
"斉藤"は袴田キャラとしては珍しく萌えキャラです
ね。眼鏡に長い黒髪は反則です!(汗)
心の通い合った「百合」ではないですが"斉藤"が
味わう、天にも昇るようなハッピーな気分が、非常
に上手く表現されていて、読んでいる私もハッピー
な気分にさせられました。
コメディ調ですが、良いポイントを捉えている作品
だと思います。
両作品とも「百合」の傑作というワケではないです
が小品ながら、上手く「百合」ポイントを押さえて
いるし、なにより同人誌と思えないような丁寧な
仕事が良いです。(もちろん他のヘテロな作品も)
では、総評。
わたくしは4点。袴田先生の絵柄って
パット見地味だけれど、ときどき、
はっとするほど可愛かったり、綺麗だと思ったり
するのよ~。今回も見せて頂いたわ!
私は2点。やはり漫画としての完成度が
高いと思う。今年の袴田めら先生の
活躍に期待。
総評:●●●●○★★☆
袴田めら氏関連の同人誌の感想はこちら。
●「注文の多いセーラー服」
●「evil and flowers」
« DVD「カレイドスターぐっどだよ!ぐぅーど!」 | トップページ | 今週買った物など+検索順位 »
コメント
この記事へのコメントは終了しました。
今回紹介されたご本で、「ヘテロ作品も入っていて百合好きのわたしでもすんなり読めました」と言うような記述がありますが、具体的にどういう理由で読むことができたのか、個人的に興味があります。
実は、カミングアウトしますが、虚人ねこさんの書かれるものをかなり信用しているのは、ヘテロ作品が嫌いという理由をかなりきちんとした筋道を立てて語ってらっしゃるからなのです。
ですから、その作品のどこが理由ですんなり読めたのかを知ることによって、虚人ねこさんという方をより深く理解できるかと思ったし、わたしの今後の創作活動においてもきっと意味のあることになると思います。
わたしが「イマイチ」だと感じた作品を褒めてらっしゃる時もありましたから、それは感性と嗜好の違いというより他にないのですが。
ちなみにわたしは女性で、恋愛対象はほとんど男性ですが、子供の頃は結婚願望がなく、それを持つようになっても「玉の輿願望」を持ったことがありません。
それで、「マリみて」を初めて読んだ時、「定番ものも少しずらすと面白いな」と感じたのですが、ストパニに触れた時点でその手のお姉様キャラに飽きたというのも多少はおわかりいただけると思います。
というわけで、こちらのサイトの性格上こちらのサイトでは無理もあるでしょうし、他の読者の方でわたしと同じ考えの方多分いらっしゃらないでしょうから、うちのサイトのアドレスを書いておきましたのでいらしてください。
本来メールで書くべきことなのですが、あいにくメールが使えません上に、こういう考えの者がいるということを知っていただくこともなにか意義があるように思えましたので(僭越ではありますが)こちらに書かせていただきました。不適切だと思われたら消してください。
http://d.hatena.ne.jp/kayoco/
投稿: べにすずめ | 2007.02.24 15:04
★べにすずめ様
コメントありがとうございます。
>ヘテロ作品が嫌い
ヘテロ作品そのものが嫌いなのではないのです。
ヘテロ作品で良くある、男にとって都合の良い
女、女にとって都合の良い男が嫌いなのです。
(もっと正確にいうと、そういう作品の「臭い」が
キライなのです)
「メランコリック実験」では、ヘテロな恋愛もの
がメインの1話をのぞいて、2話はヘテロだけど
袴田氏の純朴っぽい絵柄もあって、「臭い」を
あまり感じませんでした。
袴田氏は「百合」の名作も描いていらっしゃる
作家ですから、そういう人は、ヘテロでも「臭い」
を出さないんだな、と感じたわけです。
>「ざれごと寝言大事なこと」日記
ご紹介ありがとうございます。
まず、記事を読ませて頂いて、私がコメントでき
そうなら、コメント致しますね。
投稿: 虚人ねこ | 2007.02.25 23:44
わがまま言ってすみませんでした。
どうもありがとうございました。
投稿: べにすずめ | 2007.02.26 20:47
★べにすずめさま
コメントありがとうございます。
いえいえ、これからもご意見お願いします。
ご期待に添えるか、判らないですが・・・
投稿: 虚人ねこ | 2007.02.27 21:47