「しずるさんと無言の姫君たち」
上遠野浩平・作、富士見ミステリー文庫・刊
白い病院に隔離されたしずるさんと、頻繁にお見舞い
にくるよーちゃんの、いわゆる安楽椅子探偵もの。
実に2年ぶりの、シリーズ3冊目です。
では、本日も二人がレビューいたします。
じっちゃんの名にかけて!
謎は全て解けた!初歩だよ、ワトスン君!
私の灰色の脳細胞が活動を始めた!見た目は子供、
頭脳は大人!ウチのカミサンがね・・・マリリンモン
ローノーリターン!
えっと・・・なにから突っ込んで良い
ものやら。また酸素欠乏症の発作が
出たの?マリリンモンローノーリターンって…
謎は全て解けたのよ!良いこと、アレサ
ちゃん・・・
・・・しずるちゃんとよーちゃんはズバリ、相思
相愛なのだわ!
結局それが言いたいのね。疲れる・・・
まあ、そう言いたい気持ちもわかる。
今回も、しずるさんの元によーちゃんが怪奇な事件の
資料を持ち込む、という展開の短編が4本で構成され
ているわけだけど、最初の作品に比べたら、明らかに
謎解きより、しずるさんとよーちゃんの会話劇に重点が
置かれているよね。
それだけじゃないわ。
話の量が増えるにつれて、しずるちゃん
のために資料を集めるよーちゃんの、しずるちゃんに
対する想いが、形になってきていると思わない?
そして、より重要な事には、しずるちゃんはその気持
ちを十分に判っている・・・と思わせるセリフを
言ったりするのよ!
これは、なかなか高度な「百合」と言えるわ!
ヒューシアに同意。
今回、この作品ってこんなに「百合」
っぽかった?って思った。
この作品って、ほとんどしずるさんとよーちゃんの
会話で構成されているじゃない。それだけで二人の
濃密な時間を感じた。二人の距離感を気にするよー
ちゃんの心理描写も悪くないよね。
推理ものとしては、高尚過ぎて、面白みに欠ける
ような気もするけど。
良いのよ!考えるな、感じるのよ!
それが「百合」なのよ!
ええっ?名探偵達も草葉の陰で泣く
ようなセリフね。
それはそうと、この作品って今回で
終わりなのかしら。ちょっと終了フラグ
っぽい終わり方だったけれど。
ああ、二人の恋愛成就まで、結婚するまで、読みたい
わ~
では総評。私は2点ね。推理ものとして
出来が良ければ満点だったけど。
わたくしは4点。
しずるちゃんとよーちゃんの愛の明確な
Q.E.Dがあれば5点だったわ!ああ、続刊しないかしら!
総評:●●●●○★★☆
このシリーズの感想はこちら。
●「しずるさんと偏屈な死者たち」
●「しずるさんと底無し密室たち」
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» しずるさんと無言の姫君たち―The Silent Princess In The Unprincipled Tales [ライトノベルっていいね]
しずるさんと無言の姫君たち
―The Silent Princess In The Unprincipled Tales
著者 上遠野浩平
イラスト 椋本夏夜
レーベル 富士見ミステリー文庫
チクタの今後が気になる。
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こんにちは。
>今回で終わりなのかしら
現在も「ファンタジアバトルロイヤル」という雑誌で連載中のようです(私は文庫しか読んでません)。
http://www.fujimishobo.co.jp/novel/
ですからまだ続きます。ヒューシアさん(笑)。
でも、1冊分たまるのに、また2年ぐらいかかりそう。
投稿: ワトソン | 2007.03.14 00:49
これ気になってたんですよね~上遠野さんの作品は昔集めてたので。でも氏の文は推理モノに向いてない気がする・・
百合描写が結構ありそうなので、集めてみようかな。
投稿: リグル | 2007.03.14 09:58
コメントありがとうございます。
★ワトソン様
>「ファンタジアバトルロイヤル」という雑誌で連載中
うほっ!!
教えて頂いてありがとうございます。
ヒューシアも喜んでおります(汗)
★リグル様
>百合描写
積極的な百合描写ではないのですが、味わいが
あって良いと思います。推理モノとしてはアレ
ですが・・・
投稿: 虚人ねこ | 2007.03.14 23:47