「ヤングガン・カルナバル 愛しき日々、やがて狩りの季節」
深見真・著、徳間書店Edge・刊
ヤングガン(殺し屋)の少年と少女の戦いと青春を描く、
アクションバイオレンスノベル。シリーズ7作目。
今回は、弓華がロシアのヤングガン4兄弟と戦う前半、
同時期、韓国に修学旅行に行っていた塵八が事件に
巻き込まれる後半。という構成になっています。
読後の第一印象は・・・「百合」的には、決して
大喜びできませんがちょっと興味深い展開です。
まずは前半。弓華と恋人の香埜子の関係に注目です。
深見作品では、強い女性キャラとか弱い女性キャラの
カップリングが多く、か弱い方のキャラはほとんど
存在感がなく、強いほうに干渉しないという
パターンが多いのです。
この二人も例外ではない、と思っていたのですが・・・
今回、香埜子は弓華に、危険なことをして欲しくない
と懇願するのです。
アクションバイオレンスとしては王道の展開かも
しれませんが、これは深見作品では珍しいパターン
ではないでしょうか。
弓華は玲(弓華が一方的に好きだった女の子)との関係
も尾を引いているし、ひょっとして死亡フラグ?
と考えて、ちょっとビクビクものでした。
結果的には、香埜子は無事で一安心なのですが・・・
最後に、あの「百合」キャラが死亡!?という展開に!
うわわ、久しぶりに次回が凄く気になる終わり方
でした・・・。でも、あのキャラが死んでたら、
本当に落ち込みそう・・・(汗)
あと、後半。韓国でのお話はかなりキツイ展開だった
のですが、ノベルとしては読み応えがありました。
そうそう、私なんかは、この作品を「青春もの」と
捉えているのですが、人を簡単に殺せるヤングガン
という存在が普通に青春していることが、狂っている
ことだ、というような記述があって、ハッとさせ
られました。
今回は、そういう思想的?政治的?に深さを感じ
させる部分が面白かったです。
いよいよ「ヤングガン」というキーワードが使われ
だし、大詰め近し?という感じですね。
では、総評です。
わたくしは3点。相変わらずビクビク
しながら読んでいるわ。ああ、桃子
ちゃん・・・
私は2点。スピーディーだし、こう
いうノベルとしての造りは、かなり
完成度が高いと思う。
総評:●●●○○★★☆
このシリーズの感想はこちら、
●「ヤングガン・カルナバル」
●「ヤングガン・カルナバル バウンド・トゥ・バイオレンス」
●「ヤングガン・カルナバル 銃と恋人といま生きている実感」
●「ヤングガン・カルナバル 天国で迷子」
●「ヤングガン・カルナバル ドッグハウス」
●「ヤングガン・カルナバル そして少女は消えた」
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コメント
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深見先生の表現力はすごいですよね。
この女同士の恋愛が
スッと入ってくるのは何でなんでしょう?
投稿: カネシン | 2011.05.15 17:11
コメントありがとうございます。
★カネシンさま
>スッと入ってくるのは何でなんでしょう?
これは私の考えですが、深見先生は「強い女性キャラ」
が大好きなのです。
そして最強の女性キャラは女性を愛する女性なのです。
なぜか。
男性を愛する女性キャラを考えてみてください。
そういう女性キャラは必ず相対的に男性キャラより弱く
ならざるを得なくなります。
しかも、多くの場合、男性キャラより女性キャラの方が
魅力的です。魅力的な女性キャラが男性キャラより弱い
というのが納得できない。
となると、女性キャラは強くなければならない・・・
(最初に戻る)となるわけです。
深見先生はこういう"物語ジェンダー"のパワーバランス
に敏感なのでは?と思います。
(ちなみに、私もそうです)
投稿: 虚人ねこ | 2011.05.16 00:16