「鋼鉄の白兎騎士団」IV
舞阪洸・作、ファミ通文庫・刊
剣と魔法の世界。女性ばかりで構成された白兎騎士団
の物語。シリーズ4巻目です。
前巻で白兎騎士団の危機を救ったガブリエラたちだが、
その代償はあまりに大きかった。白兎騎士団の資産の
大半を失ってしまったのだ。ガブリエラ達、遊撃小隊
は白兎騎士団のOGに寄付を募るため、遠出することに
なるのだが・・・という展開です。
読後の第一印象は・・・相変わらずライトノベルと
しては非常に良く書けている、面白い作品になって
います。しかし、「百合」的には旗色が悪くなる
のです・・・
前回は予想以上に「百合」展開で、非常に満足感が
高かったのですが、今回はその反動か、「百合」的
には悪い方に進みます・・・
序盤は相変わらずの舞阪洸節。たくさんの女性キャラ
の会話が楽しいです。リアルな女の子たちの会話の
ように話題があっちに行ったりこっちに行ったり、
とりとめがありません。
こういうのは、リアルだと思いますが、男性作家的
でもあります。(女性作家はあまりに当たり前すぎて
詳しく書かないので)
なんというか、キャピキャピ会話する女子高生の
会話を羨望のまなざしで見つめている、舞阪洸という
イメージが浮かぶのですが、穿ちすぎでしょうか(汗)
でも、そこには下心というより、ある種の憧れを
感じます。そこが現在では良くいる、萌えや美少女
を描く作家とは一線を画す部分だと思います。
ただ、その部分には「百合」はほとんどありません。
現代のライトノベルでは女の子が沢山出てくると
少しでも「百合」要素を入れることも多いのですが
その点は90年代初頭から活動している作家だな・・・
という気もします。
そして、後半。ガブリエラ達は小国のクーデターに
巻き込まれ、王子を助けることになるのです。
この王子自体は、他のキャラを食うことはないと
思うのですが、舞阪洸氏は弱男子のハーレムものも
書いているので、予断を許さない状況です。
しかし、最初に書きましたが、ノベルとしては
読み応えもあり、面白く仕上がっています。
最後の展開で、意外な人の意外な頑張りを見せる
のも巧いですね。
「百合」的には低調ですが話としてはしっかりして
いるのが救いでした。
では、総評。
わたくしは1点。女の子達の団結力と
いう点では良い作品だけれど「百合」
としては3巻がピークね。次も「百合」展開は厳し
そう・・・
私は2点。これだけ普通に面白いライト
ノベルって意外と無いよね。文章の
完成度の高さ、テンポの良さ。判っていてもすぐに
できるものじゃない。入れ替わりの激しいこの業界で
15年書いている貫禄を感じる。
総評:●○○○○★★☆
このシリーズの感想はこちら。
●「鋼鉄の白兎騎士団」I
●「鋼鉄の白兎騎士団」II
●「鋼鉄の白兎騎士団」III
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