「ある日突然ハブられた」

竹内文香・作、集英社マーガレットコミックス・刊

買ったのは先週ですが、レビューのリクエストを
いただいたので、早速レビューさせて頂きます。

本作は漫画3本で構成された短編集です。
内、2作はいじめ(というほど深刻ではないかも)を
テーマにした作品。1作はヘテロな恋愛ものです。

読後の第一印象は・・・表題作「ある日突然ハブ
られた」が良い感じです。いわゆる「百合」作品
っぽくないのが新鮮です。

表題作「ある日突然ハブられた」は高校デビュー
を果たした愛が主人公。ある日、些細なことを切っ
掛けにして、遊び友達から仲間はずれにされてしま
う。苦悩する愛だったが、クラスで浮いている存在
である奈月と意気投合することに・・・
というお話。

基本的に、今時の女の子達のお話です。
仲間はずれと言っても、いじめというほど陰湿では
無いですが、それでも、仲間はずれになった本人の
不安感、絶望感は相当なものでしょう。

多感な少女だったら尚更です。
そういう、少女のリアルな心の揺れをしっかり描い
ている作品です。

ただ、同様のテーマで「百合」要素ありの「問題の
ない私たち」(原作・牛田麻希、作画・木村文、集英
社、マーガレットコミックス・刊)ほど、問題意識を
深める作品ではありません。

しかし、それ故に、陰湿ないじめシーンに不安を
抱くような方にもお勧めできます。

また、「百合」的には不思議ちゃんと言われつつ、
自分なりのポリシーを持った、奈月が良いですね。
主人公・愛にとって、とても心強い親友として
描かれているところがポイントです。

恋愛感情はなさそうですが、奈月は「百合」レーダー
に反応するようなキャラだし、妄想20%あれば、完全
に恋愛感情有りと思えるでしょう(汗)

あと、「百合」作品って独特の甘い雰囲気があります
よね。「百合」好きにとってはそれがとても心地良い
のですが、この作品にはそれはありません。

しかし、表面的には「百合」作品的な展開をするの
です。そういうのがちょっと新鮮で良いなあと感じ
てしまいました。

では、総評。

わたくしは3点。恋愛ではないけれど
愛ちゃんと奈月ちゃんの結びつきが
とても強く感じられて、本格「百合」作品に匹敵す
るところがあったわ。なかなか良作。

私は2点。いじめを扱った作品としては
深くないし、奈月の心理描写も中途半端
感じもするけど、今時の女の子らしい描写が新鮮
だったので。

総評：●●●○○★★☆