「狐とアトリ-武田日向短編集-」
武田日向・作、角川コミックスドラゴンJr.・刊
「やえかのカルテ」から実に3年ぶりの単行本です。
(私が知っている限り)
お話は大きく分けて3つの短編集になっています。
ジャポニズムファンタジー作品「狐とアトリ」、入院
している二人の少女のふれあいをリリカルに描いた
「ドールズ・ガール」。そして、「やえかのカルテ番
外編」です。
読後の第一印象は・・・アタリです!「やえかのカル
テ」も綺麗な作画でしたが、さらに一枚むけた完成度
です。そして「百合」的にもGJ!!
3年前の「やえかのカルテ」は、私的には正直言って
ぬるい作品でした。作画は綺麗だし、いい話なのです
がなんだか引き込まれない。「百合」要素はあるもの
の、実を結んでいない。中途半端な印象が残りました。
そして、久しぶりのこの作品集。
実はあまり期待していなかったのですが・・・
・・・おお!いろいろな面で大きな進化がみられます!
●「狐とアトリ」
巫女という流行の要素に、本格的民話テイストを良い
感じで融合した作品です。まず、絵が緻密で綺麗!
「やえかのカルテ」も綺麗だったのですが、さらに
綺麗になり、上品さまで加わった感じです。
お話は決して超絶完成度ではないものの、シビアな面
と、ちょっと意外性のある展開が楽しい内容。
そして、なんと言っても「百合」なのですこれが!
最初はせいぜい姉妹「百合」だと思っていたのですが
その点でも良い方向にだまされましたね。
二人(?)の紙一重の"姉妹愛"。これは良いです!
●「ドールズ・ガール」
こちらはさらにストレートな「百合」もの!
病院で出会った、正反対の性格の実と叶。
明るい性格の叶に惹かれていく実。そして、突然の
決別。実にオーソドックスな「百合」ものといえば
そうですが、男性向けの絵柄で、この作画レベルの
「百合」作品はそうそうお目に書かれません。
作画の良さが説得力に貢献しているところもあるし、
「百合」好きには是非お勧めしたい作品ですね。
●「やえかのカルテ番外編」
これは、オリジナルとあまり変わらない「百合」度
ですね。つまり、薄いです。
でも、やえかと芹奈の関係は妄想できるし、悪くは
ないです。
そうそう、武田日向氏って女性なのですね(汗)
絵柄とお話で男性だと判断していました(汗)
あと、B6版なのが残念です。もっと大きな版で読みた
かったです。
では総評。
わたくしは5点!アトリちゃんが可愛い
のよ!ああ、あんな風に甘えられたい~
実ちゃんと叶ちゃんも良いわ~。本当に、予想以上の
「百合」度で大満足!武田日向先生、「百合」系雑誌
に描いてくれないかしら。
私は2点。絵はかなりのレベルよね。
エロっぽさもあまり無いし。ただ、お話
の完成度はあまり高くないと思うなあ。でも、以前の
作品よりは良くなってきているので、今後に期待
できるね。
総評:●●●●●★★☆
武田日向作品の感想はこちら。
●「やえかのカルテ」3
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