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2007.12.10

「夜愁」下

サラ・ウォーターズ・著、中村有希・訳、東京創元社・刊

やっと、読了致しました。最近はライトな作品を読む
ことが多いので、こういう本格的な文章を読むのは
時間がかかります(汗)

第二次世界大戦中1941年から1947年にかけて、
ロンドンを舞台に数人の女性、男性の関係を描く
"文芸作品"です。

また、この話は人物関係が少々ヤヤコシイので、
1944年編、1941年編の人物相関図をまとめてみます。
20071210

上巻からのポイントは大きく2つあります。
・1947年、1944年、1941年の順に話が戻ること
・1947年編のラストで、ヴィヴがケイに指輪を返し
ます。この真相とは。

読後の第一印象は・・・表面的には非常にストイック
な作品なので、好き嫌いあるかも知れませんね。
しかし、「百合」眼がとぎすましているなら、この
作品が「百合」だと理解できると思います。
そういう意味でかなりハイレベルな作品だと思います。

まず、舞台設定が巧い!

第二次世界大戦も後期になると、ロンドンでもドイツ
からの空襲が何度もあります。いつ頭上から爆弾が
落ちてくるか判らない状況で、それでも、人々は
狂おしいほど関係を営む。

その舞台設定と、サラ・ウォーターズが得意として
いる、しっとりした街並みの描写と、空襲中のロン
ドンの描写が非常に対照的で、非常に上質の文芸作品
である(少なくとも、そのつもりで設計した)という
ことが判ります。

# ただ、解説を読むと、こういう舞台設定の作品は
# 少なくはないようですが・・・(汗)

肝心の「百合」的には・・・表面的にはヘレンと
ジュリアとケイ、3人の関係で、狂おしく愛しくて
切ない心理描写を読むことができます。
サラ・ウォーターズはこの辺りも非常に巧いので
「百合」的には堪能できます。

しかし、この三人は必ずしも幸せではないのです。

だから、この3人だけに集中すると、この作品は
「百合」的にたいしたこと無いと思われるかもしれ
ません。

しかし、個人的には、この作品の核心は実はケイと
ヴィヴの関係
だと見ています。

ケイは非常にオトコマエで性格の良い女性。
しかし、何故か二人の女性に振られます。
(1947年ではほとんど引きこもりになっている)

ヴィヴはレジーという軍人と不倫関係にあり、1944年
編では堕胎までします。
# 中絶の描写はかなりキツイです。私は2ページ飛ば
# しました(汗)

しかし、ケイとヴィヴは1944年に知り合い、1947年に
再会します。熱い再会ではないのですが、何故かとて
ミャクを感じさせる印象が残ります。

このミャクを感じるかどうかでこの作品の「百合」と
しても評価が分かれるでしょう。
BL要素を許せるかどうかも、好き嫌いの分かれ道です
ね。(男性同士の関係の方が純粋)

個人的には、納得の後編でした。

ライトな「百合」に食傷気味の、中~上級「百合」
ファンには是非読んで欲しい作品です。

では、総評。

フューシア:わたくしは4点。ハイレベルな「百合」
作品だわ!わたくしにはケイとヴィヴの
幸せな未来(1947年以降)が見えたわ!
本当は5点でも良かったのだけれど、とても人を選ぶ
と思うので4点にしたわ。

アレサ:私は3点。根本的にゲイ文学作品だけど、
一般文学として完成度が非常に高いと思
う。たまにはこのレベルの作品を読みたいよね。

総評:●●●●○★★★

上巻の感想はこちら。
「夜愁」上

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コメント

読了お疲れ様です。相関図のはじがきれているんですが、ヘレンとジュリアもカップルだったんでしょうか?だとしたらすごい三角関係ですね・・・でも核心は主人公とヴィヴの関係にあるようで。荊の城がかなり面白かったので、これも買ってみようと思います。

コメントありがとうございます。
★こおり様

>相関図のはじがきれているんですが

ああっ、失礼しました(汗)
修正致しました~

>でも核心は主人公とヴィヴの関係にあるようで。

実はこれも、明確では無いのです。
かなり私の妄想も入っているかも知れません(汗)

>荊の城がかなり面白かったので、これも買ってみようと思います。

ヘレン、ジュリア、ケイの三角関係は楽しめる
表現が多いですが、基本的に「荊の城」と違って
ドラマチックでもないし、ストレートな表現もない
のです。。。そのくせ「荊の城」よりエグイ描写が
多いのです。
その点ご注意くださいね・・・

おおお、荊の城よりエグいんですか・・・あれも結構生なましかったと思いますが・・・覚悟して読んでみますw

コメントありがとうございます。
★こおり様

>おおお、荊の城よりエグいんですか・・・

私は生まれて初めてページを飛ばしました(汗)
一番苦手なシーンがあったので・・・
そのレベルです(汗)

読み終わったら、感想お聞かせください。

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