「吸血の季節」
砂浦俊一・著、集英社スーパーダッシュ文庫・刊
砂浦俊一氏は「百合」っぽい作品も描いていたなあと
思って新刊の「シアンとマゼンダ」を買ったのですが、
そういえば買っていなかったと、ついでに買ったのが
この作品です。
が・・・買ってすぐに気がつきました・・・この作品
は発売当時「百合」的に地雷と言われたことを・・・
お話は・・・探偵助手にして"殴られ屋"の少年・燈が
本編の主人公。ある日、学校で二人の女の子の秘密の
逢瀬を目撃してしまう。そこから始まる事件・・・
読後の第一印象は・・・やはり地雷でした(汗)
ライトノベル作者としての狙いは判らないではない
ですが、ノベルとしての完成度もお世辞にも高くは
ないですね・・・
まず「百合」要素から書きましょう。主人公・燈が目撃
したのは、女の子二人(紗衣が鏡花への)の吸血行為なの
です。この二人は肉体関係もあり、なかなかガチカッ
プル。だから、前半は「百合」的にそこそこ楽しめる
かもしれません。
しかし、後半がイケマセンね。全くイケマセン!!
後半。紗衣の想いは燈に傾いていきます。
まあ、それは良いのですが(良くないけど、ドラマツル
ギーとして良いなら、納得できるかもしれないという
意味で)、燈が伝統的な朴訥で強いキャラなのがいけま
せんよね。さらに女性キャラはマリオのピーチ姫よろ
しく一方的に助けられるだけ・・・
私がもっとも嫌うタイプの展開です。
ただ、この作品はライトノベルとしてはかなりヒネリが
効いていると思います。吸血病、同性愛、"殴られ屋"、
麻薬、地下格闘の怪物。ダークなイメージという統一感
はあるのですが、一見するとつながりが判らないファク
ター。
それらが意外とすんなりと結びつくストーリー。
多分、作者はそこを狙ったのでしょうね。
確かに、ライトノベルとしては(「百合」的な裏切りも
含めて)「アリガチではない」ストーリーにはなって
いたと思います。
ただ、その狙いは判るとしても、主人公・燈の強さが
不自然だったり、牧原はいくら何でも偶然過ぎるでしょ
う!と思ったり、最後の鏡花が納得できなかったり、
完成度は「百合」的を考えないとしても低いと思いま
す。
まあ、地雷を買ってしまった私が悪いのです。
では、総評。
わたくしは保留するわ!!まったくとんだ地雷
だわ!男キャラなんて○×%@○○○%
%%&*!?○@○(以下1000文字削除)れば良いのよ!
あ~あ。またクレーム来るから。
私は1点にする。ヒネリを入れようという
意識は良いと思うのだけど、料理方法がねえ。
それに、最後の鏡花の扱いって、キャラクターとしては
死ぬより悪いよね。なぜこんな風にしたのか、全く理解
に苦しむ。新刊の「シアンとマゼンダ」には期待。
総評:-----★☆☆
砂浦俊一作品のの感想はこちら。
●「隣のドッペルさん」
●「隣のドッペルさん~瞳の中の妖精~」
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