「黒薔薇」
吉屋信子・著、河出書房新社・刊
いよいよこの作品の感想を書くときが来ましたか・・・
風の噂では「屋根裏の二處女」の続編、しかも「屋根裏
の二處女」の甘さを覆すような作品らしいので、読むの
をかなり躊躇していました。
お話は・・・東京から片田舎の女子校に赴任した章子。
田舎生活に馴染めない中、一人の女生徒・和子に惹かれ
ていく・・・という内容です。
読後の第一印象は・・・ラストは悲劇です。でも14章
までは皮肉とか抜きでコメディかと思って読んでいま
した(汗)個人的には「百合」的にも非常に良いと思い
ました。
とにかく主人公・瀧川章子先生の妄想ッぷりが面白い
のです。同性しか愛せない自分の正当性を滔滔(とう
とう)と頭の中で論じたり、和子の妄想をしたり、自虐
モードになったり。
自分の好きなものを饒舌に絶賛するかと思えば、嫌いな
ものに対すしてはこっぴどくこき下ろすし(汗)
# 個人的にお気に入りの表現は(汗)不味いカステラを評
# して「田舎町のカステラ、歯にねちゃねちゃ。」
# この表現がなんだかかなり気に入ってしまい、本当に
# カステラを買ってきて食べました(汗)
# 美味しかったですが。
さらに躁かと思えば鬱になるし。
ある意味「あずまんが」のゆかり先生より先生に向いて
いないのではなかろうか(汗)
確かに、人間味あふれるキャラなのです。好きなものは
好き、嫌いなものは嫌い、それゆえに盲目的にもなる。
そういうキャラって惹かれますね。個人的に。
「百合」的には・・・その章子先生が美しい和子に萌え
萌え(この表現が一番近いでしょう)する様がとても良い
のです。
一方的に好きになってから、学校行事で和子と交流する
度に胸をときめかせている様子はまさに「百合」です
よね。
ただ、最初に書きましたがこの作品はラストは悲劇
です。(15章で文体が変わるので、途中で方向転換した
のでは?とも勘ぐってしまいます)
また、確かに「屋根裏の二處女」の後日談ともとれる
箇所があり、あの二人が"裏切り"によって仲違いした
ことも書かれてあります。(とても短いですが)
ですが、この作品、とても憎めないのです。
「百合」ということもあるし、章子先生の性格も好き
だし。「屋根裏の二處女」と切り離して考えることも
不可能ではないですし。
あと短編(「黒薔薇」の続編とも取れる)「鉛筆」や
「夏草」もとても味のある「百合」だと思います。
人を選びそうな本ですが、個人的には好きな本と
言えます。
では、総評。
わたくしは5点。「屋根裏の二處女」の
後日談は少しショックだったけれど、あの
作品で花咲いた「百合」は不滅なのよ!
この作品もとても良かったわ。最後の「若き魂の巣立
ち」というエッセイは結局の所「百合最高!」と
言っているのよ!流石、吉屋信子先生!
私は3点。確かに変なテンションだし
ツッコミ所の多い作品だけど、吉屋信子
という作家を語る上では必須の作品だと思う。
この作品が1925年に書かれていたとは、日本文学恐る
べしね。
総評:●●●●●★★★
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