「夜空の王子と朝焼けの姫」
袴田めら・作、一迅社、百合姫コミックス・刊
袴田めら氏が「百合姫」誌をはじめ、いろいろな所に
発表した作品を収録した、珠玉の「百合」短編集です。
読後の第一印象は・・・この作品集を読めば「百合」
そのものが判る!と断言できます。
本日は二人がレビューします。
来たわ~!わたくし、袴田めら先生の
作品大好きなのよ~。
フューシアは「百合」なら何でも良いと
言うくせに。
そ、そ、それは否定しないけれど、袴田
めら先生は「百合」のエッセンスを体得
している、というのかしら?これぞ「百合」!という
作品を組み立てるのが巧いのよ~。
言っていることは変だけど、言わんとし
ていることは判るかな。ストーリーより
登場人物の女の子達の心情を中心に描いているよね。
だから、"濃縮感"がある。
そうそう!女の子達の、ほのかで熱い
想い!激情と切なさ!ああっ!誰もが
少女になれるのよ!そして(同性の)少女に焦がれるの
よ!これが袴田めらマジックね!
あと、巧いのが"喪失感"だと思う。
誰かが死ぬとか言うのではなくて、気持
ちの変化が生む喪失感。失ったことの哀愁。そういう
切なさがとても良く描けているよね。
森永みるく先生の「GIRL FRIENDS」でも感じたのだけ
ど、この喪失感が少女への「ある種の憧れ」を生む
素地になっているのじゃないかな。
ちょっと飛躍するけど、現在でも「百合」作品の多く
が女性作家じゃない。みんな、その「少女の喪失」を
経験しているからじゃないかな・・・
なるほど~。さすがはわたくしの弟子の
アレサちゃん。良いこと言うわね!
だれが弟子だって。
それに、私の書いたことには飛躍がある。
「少女の喪失」と「百合」は直接結びつかない。
作者が「百合」に「永遠の少女性」を感じているのなら
理屈は合うけど・・・それはどうだろう。
永遠の少女なんて、それってなんてわた
くしなの?!
まあ、難しいことは置いといて、アレサちゃんのお気に
入りの作品はどれかしら~?
結局、人の言うこと聞いてないし。
まあ良いわ。個人的には「放物線を描く花」
「彼女の猫は夢の番人」「カラス女」とか喪失の切なさ
を描いた作品が心に残るな。お話としては「名もなき国
の恋の歌」も好きだな。袴田めら先生の作風は意外と
ファンタジーに合うと思う。
わたくしは「射手と蠍の境界線」「キリン
の首は長すぎる」「夜空の王子と朝焼けの
姫」のような甘切ないお話も良いし、「愛しのメイド様」
「あなたを虜に」のような可愛らしいお話も良いわね。
じゃ、そろそろ総評。
フューシアは?
誰に聞いているの?!わたくしはもちろん
5点だわ!それ以外に無いわ~!
はいはい。判ってて聞きました。
私も3点。バラエティ豊かでそれでいてしっ
かりした「百合」が楽しめる、お得な作品集だよね。
でも、個人的には袴田めら先生にはまた長編を描いて
ほしいな。
総評:●●●●●★★★
袴田めら氏の作品の感想はこちら。
●「最後の制服」1
●「最後の制服」2
●「最後の制服」3
●「暁色の潜伏魔女」1
●「暁色の潜伏魔女」2
●「フェアリーアイドルかのん」1~3
●「フェアリーアイドルかのん」4
●同人誌「evil and flowers」
●同人誌「メランコリック実験」
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