「夜、海へ還るバス」
森下裕美・作、双葉社・刊
地元の本屋さんの「百合」コーナーにあったので買って
みた作品です。
お話は・・・主人公は結婚を控えた夏子。夢の内容から
自分はレズビアンかもしれないと思い、実際に女性と
恋に落ちようとします。そのとき、同じマンションの
変な性格の主婦・美波と出会う・・・という内容です。
読後の第一印象は・・・実は森下裕美氏と言えば「少年
アシベ」しか知らなかったのですが、まさかこんな作品
を描いていたとは!非常に興味深い作品です。
ひょっとしたら中山可穂に影響を受けた?という感じの
作品です。
夏子は自分のセクシャリティに気づかず、美波と遅すぎ
る出逢いをする点や、夏子のフィアンセは理解力はある
ものの、男性にありがちな誤解をしている点など中山
可穂ではなくても、ビアン系に影響を受けているのは
間違いないと思います。
でも、普通のビアンものとは2つの点で異なると思いま
す。
1つは、森下裕美氏は「少年アシベ」というカートゥーン
で一世を風靡した作家です。この作品も作画は漫画的に
完成度が高い感じでありながら、ビアンものの雰囲気を
持っています。こういうバランスの作品はかなり珍しい
と言えます。
もう1つは、ビアンもの特有の真に迫った主張を感じな
い点。(もちろんそれが悪いのではありませんよ)
ビアン風味でありながら、カートゥーン的な絵とほんの
ちょっぴりコメディの味付け、そして大阪弁。これだけ
並べてもこの作品の珍しさがわかります。
また、人間ドラマとしてもよく描けているし、ラストの
幻想的なシーンもサマになっているし、そして「百合」
的にも切なくて良い作品だと思います。
では、二人の評価です。
わたくしは4点。遅すぎた出逢いね・・・
あと、二人のラブシーンがとてもリアルな
感じがして良いのよ。ラストも切ないわ~。
でも、普通の「百合」ファンには軽々しくお勧めできな
いのがマイナスね。
私は3点。テーマが少々発散している感じ
もするけど、なかなか興味深い、面白い
作品だと思う。ビアンものにも理解のある「百合」ファ
ンは是非読んで欲しいね。
総評:●●●●○★★★
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