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2010.05.12

「ひらり」Vol.1(後編)

後編の感想行きます!

橋本みつる・作「星ちゃん」
親友の延長という感じのお話です。主人公・安藤さんが
自称"男っぽい"星ちゃんを観察するようなお話ですが、
なかなか着眼点が鋭いですよね。本気で思い入れでき
ようになって、初めて星ちゃんの"男っぽさ"が見えてく
るというのは、なにげにリアルな展開です。
親友関係だけど、こういう感情の入れようが「百合」的
だと思います。

月村菫+ねぎししょうこ・作「手をつなごう」
他の「百合」アンソロと違う「ひらり」の特徴と言えば、
なんと言ってもノベルですよね。短編ですが、しっかり
したノベルが掲載されている「百合」アンソロはかつて
なかった・・・のではないかと思います。
お話は地味でまじめな主人公と、社交的で可愛い義妹を
描いた内容です。キライだと良いながら義妹を観察する
主人公の内面がとても良いですね。
義妹の洋服を着ることになった、ドキドキ感がなんとも
甘切なくて良いです。
やはり「百合」はノベルでこそ本領を発揮する!と思い
ます。今後のノベルの増ページに期待!

茉崎ミユキ・作「檸檬の」
う~ん。なんとも甘くて、ちょっと切なくてハッピーな
感じが良いですね。実に良い「百合」です。
しかし、甘やかなのに学生ものではないところも、ヒネ
リといえばヒネリで、良いと思います。
同性愛に抵抗がありながらも・・・という嬉し恥ずかし
的な展開もオイシイです。

スカーレッドペリ子・作「SMILE MAKER」
「百合」というより親友の延長という感じですね。
幼い日と現在の立場の違いを埋められなくて、素直に
なれないというのがちょっとリアルで良いです。
あと、こういうストレートな感情表現って好きだなあ。
個人的にはこういう表現の方が心を動かされます。

未幡・作「この街に人魚はいない」
ちょっと不思議な転校生との交流を描いた作品。なんと
も淡くて切ないお話です。恋愛感情直前の、心が動かさ
れる感じがとてもよく表現されていますね。
あと、この作品を読んで、「ひらり」の傾向が判った
ような気がしました。

では、二人のコメントです。

フューシア:第4の「百合」アンソロジーよ!ほとんど
毎月「百合」アンソロが読める時代が来た
のよ!「百合の夜明け」ね!

アレサ:財布も軽くなるけどね。それはそうと、
「ひらり」だけど、「百合姫」や「つぼみ」
との明確な違いって感じた?

フューシア:感じたわ!それはズバリ、「淡さ」ね。
「百合姫」や「つぼみ」って表現は違うけ
ど、基本的にガチじゃない。でも「ひらり」に掲載され
ている作品は友情以上、恋愛感情直前、という感じが
したわ。

アレサ:私も同感。オビに書いている「ピュア百合
というのはナルホドと思ったよ。

フューシア:でも、これくらいの淡さの方が逆に等身大
でリアル
に感じるのよね。「百合姫」や
「つぼみ」ほどキャッチーではないけど、良い所を狙っ
ているかも・・・と思ったわ。

アレサ:総評は、私は3点。この淡さって「百合」
の原点だと思うな。最近の濃い「百合」に
慣れていたら、ちょっと物足りないかもしれないけど、
個人的には、こういうのもアリだと思う。
個人的に好きな作品は絵の雰囲気が良い「影慕い」
ノベルに期待を込めて「手をつなごう」かな。

フューシア:わたくしももちろん5点!淡いけれど、
ちゃんと甘さも切なさあるわ!う~ん、
「百合」って良いわね~。
わたくしが好きなのは、「一瞬のアステリズム」
「わたしをすきにならないで」ね!特に「わたしを」の
甘切なさには心を打たれたわ~

総評:●●●●●★★★

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コメント

虚人ねこ様

『〜ひらり、 Vol.1』の後半レビュー、誠にありがとうございました。

なるほど、“『百合姫』・『つぼみ』との住み分けになるのなら、この淡さも良いのでは?”ですか…。う〜ん、さすがです。私には、全く考え付きませんでした。

今作品、意外な程に“少女漫画・百合”な内容だったので、非常に嬉しく思う半面、何となく“物足りないかな?”とも思ってしまいました。

しかし、虚人ねこさんの、“淡さ”というお言葉を賜り、正に“目からウロコ”の心境であります。

ちなみに、私の“お気に入り作品”は、『一瞬のアステリズム』・『わたしをすきにならないで』・『影慕い』・『原田さんと美咲ちゃん』・『檸檬の』・『SMILE MAKER』、そして今回の“白眉”ともいえるのは、実に可愛らしいお話で、読みながら思わず、頬が緩んでしまった、ノベル『手をつなごう』です。

コメントありがとうございます。
★真誠美優さま

>しかし、虚人ねこさんの、“淡さ”というお言葉を賜り、正に“目からウロコ”の心境であります。

恐縮至極です・・・(汗)

ただ、ちょっと前までガチな「百合」は引く、という
意見も目立っていたので、この“淡さ”なら少女漫画の
延長として楽しめる層もいるのでは?と思いました。

もちろん、個人的にも濃いのから淡いのまで、多種の
「百合」作品を読めるのが嬉しいですが・・・

でも、個人的な予想を言わせてもらえば、「ひらり」も
回を増すごとに濃くなるのでは?と考えています。
(根拠はなく、カンで)

>ノベル『手をつなごう』です。

ノベルがあるのが本当に嬉しいですね。
これからも続いて欲しいものです。

虚人ねこ様

今作品には、独特の“淡さ”を大切にしつつ、本当に少しずつ少しずつ、“濃さ”を加えていって欲しいな…と、思います。

しかし、何よりも願うのは、一般男性が嬉々とするような、“セクシャル描写過多”な内容には、どうか絶対にならないで…と、いう事です。

ところで今回、私の一番の関心事は、“虚人ねこさんは、ノベル『手をつなごう』を、どう評価なさるか?”でした。実は、“物足りないと、お思いになられるのでは?”と、少なからず心配だったのです。しかし、とても温かい評価を賜った事で、全くの杞憂に終わり、ほっ…といたしました。私も、次回のノベルに期待大です。

コメントありがとうございます。
★真誠美優さま

>“セクシャル描写過多”な内容には、どうか絶対にならないで…と、いう事です。

これも予想ですが、それはないだろうと思いますよ。

>『手をつなごう』

個人的にはノベルというメディアは漫画よりすんなり心
に入ってくるので、多少"薄く"ても"しっかり感じる"よう
ま気がします。
『手をつなごう』は中里一氏の作品のような濃さはないで
すが、心理描写はなかなか上手かったですし、今後も作品
も期待できそう・・・と思いました。

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