「Girlish Sweet アタシノ彼女」

竹宮ジン・作、白泉社・刊

同人誌でもオリジナル「百合」作品を多数発表している
竹宮ジン氏の初商用単行本です。

お話は・・・共通の世界観のオムニバスドラマです。

読後の第一印象は・・・オムニバスですがあ、構成が良
いですね。もちろん「百合」的にも間違いありません！

一応、オムニバスと言いつつ、構成がなかなか凝ってい
ます。複数の登場人物の「百合」物語が展開するのです
が、ほとんどの人物は知人だったりします。

これくらいならよくあるのですが、後半は、この作品の
メインのエピソードである、野中と加藤の関係が中心的
に描かれ、ラストエピソードでは他のエピソードの登場
人物が加藤の母にして大女優の舞台に観客として集
います。

最初から計算されて構成された感じではなく、作者の思
うままつなげていたら、こうなったという感じなのです
が、そのつながりがこの単行本全体になんとも言えない
味を加えているのが秀逸だと思います。

「百合」的には、各エピソード共通して、"恋に落ちる
瞬間"の心理が写真のように綺麗に描写されているのが
とても良いです。絵的にはコントラストが強い作画なの
ですが、「百合」的に重要なコマは鮮やかに色づいて見
えます！

それぞれの作品も、コメディタッチあり、甘系あり、切
ない系あり、重い系ありで、バラエティに飛んでいます。
同人誌でオリジナル「百合」作品を発表している作者の
芯の強さみたいなものを感じますね。

では、二人のコメントです。

わたくしは5点。「百合」世界に浸れる作
品だわ～。いわゆる萌え系にはない、リア
ルな雰囲気の女の子たちの存在感が良いわね。
甲乙付けがたいけれど、好みのカプは桔梗ちゃんと香奈
ちゃんかしら、初々しさが良いわね～。

私は3点。構成が面白いと思った。論理的
な緻密さはないけど、作者の美的感覚で
構成されている感じが良いと思った。
私の好みのカップルはやはり加藤と野中かな。"重さ"が
良いよね。

総評：●●●●●★★★