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2011.09.02

「オクターブ」vol.5

秋山はる・作、講談社・刊

雪乃と節子ともに仕事での転機を迎えます。しかし、
そのことが二人のすれ違いを産んでいきます。劣等感
ゆえに自分にも節子にも素直になれない雪乃は・・・
という展開。

読後の第一印象は・・・今回も良いです。甘々「百合」
も良いですが、こういう適度にリアルで、渋めのドラマ
が沁みます。

前回も書きましたが普通の「百合」ものはゴールイン
して終了ですが、この作品は普通の恋愛ドラマのように
日常的に好きになったりすれ違ったり、という展開を
見せます。

こういうジメジメしたヤキモキさせる展開や、意外と
生々しいセクシャルなうわさ話は好き嫌い多いでしょう
ね。この作品を批判的に捉える人が多いのも判ります。

ただ、個人的には、こういう内容の方が、嘘のない"女
性"を描いているように感じます。

もちろん、完全に「嘘がない」わけではないだろうし、
「上手な嘘」は「嘘がない」ことより良いことも多い
ですよね。この作品はそこのところのバランスが良い
だと思います。

また、雪乃が良い人過ぎないのも良いと思います。

田舎に帰って、古い友人に会った雪乃は、友人の軽口に
内心腹を立て、嘘を言ったり、別れ際に「二度と会いた
くない」と思ったりするのがなんだかとても等身大
良いと思いました。

こういうところが上手いから、雪乃視点のリアルな
「百合」恋愛を描けているのでしょうね。

さて、次回でいよいよ最終巻
雪乃と節子は幸せになれるのでしょうか??

では、二人のコメントです。

フューシア:わたくしは5点。良いわ~。こういうガチ
な恋愛ドラマ展開って!甘々でゴールイン
も良いけれど、こういうハラハラ切なくさせる展開も
嬉しいわね~。

アレサ:私は3点。この作品ってリアルだけど、あく
までビアンものではなく、「百合」なんだ
と思う。そして、「百合」であるのと同時に、オーソド
ックスな恋愛ドラマなんだよね。こういうバランスの作
品って本当に今までなかったなあ。

総評:●●●●●★★★

このシリーズの感想はこちら。
「オクターブ」vol.1
「オクターブ」vol.2
「オクターブ」vol.3
「オクターブ」vol.4

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