「白衣性恋愛症候群 短編小説集 Summary」
円まどか・著、工画堂スタジオ・原作、パラダイムまるち文庫・刊
本日はこの作品。
実はゲーム版(PSP)は現在プレイ中です。ので、本編に
関係なさそうな部分のレビューといたします(汗)
お話は・・・地方の病院・百合ヶ浜総合病院に務める
女性看護師たちの日常と人間関係を描く、短篇集です。
読後の第一印象は・・・「百合」的には思っていたより
薄口ですが、味わい深いです。
内容はゲーム版本編前後のエピソードです。
しかし、登場人物はそれほど多くないし、ゲーム版本編
から人間関係が大きく変わっている点もないし(一応あ
りますが)、そういう点では初見でもとっつきやすい作
品でした。
では1作ずつ感想を書きましょう。
●story.1「百合ヶ浜総合病院 内科病棟観察記」
本編の主人公・沢井かおりの先輩看護師・山之内やすこ
視点で百合ヶ浜総合病院の日常が描かれます。やすこは
関西弁特有の軽い口調でありながら看護師としては優秀、
人間観察にも長けているキャラです。そのやすこから見
て、かおりとかおりの学校の先輩でもあった看護師・藤
沢なぎさ、入院患者の堺さゆりの関係が描かれます。
登場人物の「百合」関係を観察して悦に入るキャラって
漫画でもいるのですが、やすこの人間観察はなかなか深
く非凡なところを見せているのがとても面白いです。
「百合」的にはメインではないですが、やすこという
キャラの面白さが光る内容でした。
●story.2「偶然と必然の積み重ね」
本編の数年前のお話。かおりの属する内科病棟の主任・
大塚はつみとやすこの出会いが描かれます。ここでもや
すこの不思議さと優秀さの二面性がとても興味深いです。
また、はつみは古参の看護師を一掃して百合ヶ浜総合病
院を立て直すために行動している、という立場。
そんな時、魅力的なやすこと出会う・・・というなんと
も渋いお話。
この作品も表面上「百合」的には薄口ですが、はつみと
やすこという人間観察が鋭い二人が、緩く惹かれあうと
いう展開が渋くて面白いです。
●story.3「おかしの縁」
なぎさとさゆりが一緒にかおりにホワイトデーの贈り物
を作ろうとするお話。1,2話と雰囲気がガラリと変って、
明るめの内容です。
二人ともかおりに好意を抱いているので、すわ交戦状態
と思いきや・・・まあ、ベタな漫画みたいにならないの
もこの作品らしいですね。
でも、「百合」的にはこの作品が一番ニヤニヤできると
思います(汗)
●story.4「誰にも聞かせられないヒトリゴト」
入院患者・浅田あみの過去と、大塚はつみの出会いを描
いた作品。はつみは一見仕事人間だけど、この作品のよ
うな一面を持っているのが良いですよね。
この作品も「百合」というには薄口ですが、いい味が出
ていると思います。
正直な所「百合」としてはもう一押しして欲しいところ
ですが、キャラクターの内面描写はとてもツボで、面白
かったです。とくにやすこが魅力的でしたね。
個人的には続刊を望みたいのですが、この作品をラノベ
的に評価する人が多いと・・・難しいかもしれませんね。
では、二人のコメントです。
わたくしは3点。本当に「マリア様がみてる」
のような薄口の「百合」だわ。最近濃口の
作品が多いからちょっと薄すぎるようにも思えるけれど、
こういう味わいも「百合」ならではだと思うわ。
私は2...3点。こういう渋いノベルってラ
ノベでは存在し得ないよね。残念ながら。
この作品も読む人によっては物足りなく思うだろうけど、
個人的にはやすこやはつみの"読み"の描写がとても面白
かった・・・と同時に、こういう風に人を読む人が世の
中にいるかも・・・と思うと怖くなるよね。
こういうノベルが生き残れるフィールドが欲しい。
総評:●●●○○★★★
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