「くらいもり、しろいみち」
由多ちゆ・作、芳文社つぼみシリーズ・刊
本日はこの作品。「つぼみ」は休刊してしまいましたが
まだまだレビューしていない単行本が多いですね。
お話しは・・・他人との交流を疎ましく思う主人公の翔
は、ある日、"白い"印象のある、目の悪い少女・ちはる
と出会う。ちはるの人懐っこさに惹かれていく翔だが
・・・。という内容。
読後の第一印象は・・・「百合」ものとしてはベタでは
ありますが、良い意味でそっけない演出がとても良いで
すね。
二人の少女の出会いと別れを描く、という題材は「百合」
ものとしては王道ですよね。
たいていはドキッとさせるようなエピソードが有って、
切ない、甘い展開を迎えてゆく・・・というパターンが
多いですが、この作品はちょっと異なっています。
しょうはちはるの不思議な"白さ"に惹かれて、毎日、決
まった公園で会う事になるのですが、ドキッとさせる演
出もあるのですが、しょうがちはるのことをあれこれ考
えて、たんたんと時間が過ぎる・・・ような展開が続き
ます。
ドラマチックではないので、人によっては肩透かしな印
象を持つかもしれませんが、個人的にはこの淡々とした
演出と二人の微妙な距離感が良いのです。
やはり「百合」は距離感を楽しむジャンルだと思います。
距離が0(イチャイチャ)であっても、この作品のように
ちょっと離れていても、それによる演出や、距離感の変
化の付け方で鑑賞のポイントは変わりますよね。
この作品は「百合」は距離感、ということがわかる人向
けのちょっと渋い内容ではありますが、そっけない演出
の中にある切なさや愛しさみたいなものを感じられる作
品だと思います。
では二人のコメントです。
わたくしは5点。ちょっとそっけなさすぎ
という印象もあるけれど、それがとても等
身大でリアルに感じられるのよ~。後日談も良いわね。
ハッピーエンド!!という感じではなく、ハッピーエンド
みたいな感じがグッドだわ。
私は3点。絵の感じや淡々とした中にもリ
ズム感があるような演出が、意外とマンガ
として読みやすいのが良いよね。でも、「百合」作品で
なければこういう作品は世に出ないんだろうな・・・
総評:●●●●●★★★
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